豪雨災害に遭ってしまったときの手続まとめ

豪雨災害に遭ってしまったときの手続まとめ

こんにちは。豪雨災害で心が沈んでいるのに晴れ晴れとした青空が恨めしく思う税理士の菊池です。

このたびの平成30年7月豪雨で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました方々に謹んでお見舞い申し上げます。

私たちに出来ることは何かと、考えながら行動しておりますが、税金、お金の専門家として、災害時に受けられる税金の軽減や支援制度についてまとめてみました。適用、控除を受けるには、それぞれ細かい条件もありますので、詳しくは参考になるWEBサイトのリンクを入れておきますのでご確認ください。

① 所得税、住民税の雑損控除

災害や盗難にあわれた方、または生計を一にする親族に対し、所得税や住民税を控除する措置で、確定申告でその旨申告する必要があります。

詳しくは国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm

所得から控除される金額は下記のとおり。

次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

(注)
1.損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

2.「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。

※災害の被害状況に応じて、次の災害減免法による所得税の軽減免除と比べて有利なほうを選択することが出来ます。

② 災害減免法による所得税の軽減措置

災害によって受けた住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、確定申告により、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるか又は免除されます。

災害減免法により軽減又は免除される所得税の額の表
所得金額の合計額 軽減又は免除される所得税の額
500万円以下 所得税の額の全額
500万円を超え750万円以下 所得税の額の2分の1
750万円を超え1000万円以下 所得税の額の4分の1

災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨記載し、被害の状況及び損害金額を記載して、確定申告書等を提出することが必要です。

詳しくは、国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1902.htm

③ 給与から引かれる源泉所得税の徴収猶予および還付

災害を受けた方が、給与、公的年金を受けている方で、災害による損害金額が、住宅又は家財の価額の2分の1以上の場合は、所得金額の見積額に応じて、源泉所得税の全部又は一部について徴収猶予や還付を受けることができます。
手続き的には、給与又は公的年金等の支払者を経由して、災害を受けた方の納税地の税務署に「源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予・還付申請書」等の書類を提出する必要があります。すなわち、勤め先の会社、年金の支給元にお問い合わせして頂くことになります。

詳しくは、国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8003.htm

④ 医療費控除

ご本人やご家族の方が、災害によって、ケガをされたり、それに伴って入院された場合、かかった医療費は、一定額以上を医療費控除で所得税から控除できます。
なお、保険等で一時金や保険金が下りた場合はそれを差引いた額が控除になります。

詳しくは、国税庁ホームページ
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

なお、医療費控除を受けるときの領収書の提出が不要になりました。
詳しくは
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf

そのほか、個人事業主として確定申告をされている方には、
・所得税の申告納付期限の延長(猶予)
・予定納税額の減額申請
・被災事業用資産の損失の経費計上
などが使えますので参考まで。

・消費税の届け出について
災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた事業主が、その被害を受けたことによって消費税の課税事業者の届け出をできなかった場合、提出期限の延長の答礼を受けることができます。
また、災害によって新たに事業用資産の購入が発生した場合など、簡易課税制度の適用を受けることをやめたい場合、所轄税務署長の承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間等から簡易課税制度の適用を受けること、若しくは適用をやめることができます。

⑤ 住宅借入金等の特別控除の適用期間の特例

大震災により住宅借入金等特別控除の適用を受けていた住宅について居住できなくなった場合についても、その住宅に係る住宅借入金等特別控除の残りの適用期間について、引き続き、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けていた方は、引き続き、年末調整で控除を受けることができます。

⑥ 損害保険、生命保険、共済の保険金請求

まずは、保険会社の窓口に連絡し、災害に遭って損害が出た旨報告をしてください。災害で保険証書などなくなっていても、電話で対応してくれると思います。この報告を一定期間以上怠ると保険金を受けられない場合が多くあります。実際の手続き等は保険会社の指示がありますので、それに従えばいいと思います。とりあえずご報告の連絡を。

また、ケガや入院の場合は、診断書などが必要になりますし、入院給付がある場合には、退院後でないと請求できない場合もあります。早く手続きをすれば早く保険金が支払われますので、早めの手続きをお勧めします。

また、どんな保険に入っているか忘れてしまっているケースも多いのでよく確認してください。クレジットカード付帯の保険も保険金が出る場合がありますので忘れずにチェックしてください。

⑦ 県市町村の見舞金など生活支援について(見舞金、住宅、罹災証明ほか)

各県市町村は、災害に関する情報、支援や相談窓口を設けています。市町村によって対応に若干の差があると思います。こまめなホームページのチェックをお願いいたします。下記に、現時点での広島県を中心とした行政の支援策など災害情報を確認できるページを調べました。わからないことがあれば、各行政の窓口にお問い合わせください。
また、支援を受けるためには、家や家財に被害を受けた証明「罹災証明書」が必要になることが多いので、この証明書の発行を先に受けておくと後がスムーズです。

・広島県災害情報ページ(被害状況、道路、ライフライン、ボイランティア、健康他)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/saigai201807/
・広島県公営住宅の提供について
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/108/h30-kouei-0705.html
※広島県には支援情報のページがなく分散していますので

・広島市HP(支援情報が見やすい!)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/index.html
・広島市生活支援策一覧
(罹災証明書、見舞金の支給、生活相談、土砂・ごみの処分、税金の減免、健康他)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1531212681949/index.html

・府中町HP緊急災害情報(災害状況、支援情報)
http://www.town.fuchu.hiroshima.jp/

・呉市HP(災害情報、ボランティア情報はありますが、見舞金など支援策が見当たりません)
https://www.city.kure.lg.jp/

・熊野町HP
http://www.town.kumano.hiroshima.jp/
・熊野町災害情報
http://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/genre/1531186766474/index.html
・熊野町災害支援金の受付について
http://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/contents/1531094896513/index.html

・東広島市HP
http://www.city.higashihiroshima.lg.jp/index.html
・東広島市生活支援情報(応急措置、災害見舞金、税金の減免、復旧工事補助、融資ほか)
http://www.city.higashihiroshima.lg.jp/material/files/group/1/hisai_shiengaiyou.pdf

⑧ 勤務先からの見舞金、物品購入補助

勤務先からの災害の支援について、中小企業においては、基本、就業規則や規定に基づいて行われます。就業規則内、または福利厚生規定に盛り込まれている場合、規定に基づいて見舞金の支給、休暇、生活支援が行われます。規定どおりであれば、その出費、支給は会社の経費として扱われます。なお、一定以上の多額の見舞金の支給については、給与として所得税がかかるケースがありますので注意が必要です。(それ以外はケースバイケース)
ただし、これらの規定があってもきちんと規定どおりに行われないケースも多いし、整備すらされていない場合も多く見受けられます。(従業員が10人以下の会社は、就業規則の作成がなくてもよいとされています。)
社長の「お気付」で行われるケースも多いので、困ったときは助け合いの精神で(角が立たないように)社内の誰かが声を上げてもいいかもしれませんね。

以上、思いついた範囲でまとめてみました。
「こんな支援もあるよ!」とお気づきの方、「もっと詳しく知りたい」と思われる方はご一報ください。
次回は、「会社が被害をこうむった時の支援まとめ」を書きます。

被災された方皆様の一日も早い回復、復興を祈念しております。

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